自分が受けた授業
教員になるためには,大学で教職課程を修了する必要があります。
その中で,英語科の教員を志望していれば,必ず英語教授法のような科目を受講するはずです。
私もそうでしたが,同じゼミの友人も含め,この頃から「自分たちが受けていたようなナンセンスな授業には絶対にしない」という強い気持ちを持っていました。
当時,最新の英語教授法と言われていた効果的なメソッドをたくさん知識として持っている自分たちの方が,良い授業ができると大きな勘違いをしていたのです。
教育実習
人生で初めて生徒の前で授業をしたときのことを今でもよく覚えています。
内容は,音読を中心とした内容理解でした。
みんなが大きな声で音読をしてくれるので,一見華やかな授業でしたが,その授業で生徒にどのような力が付いたのかと聞かれたら,自信満々で答えることはできません。
おそらく,「一所懸命に声を出して読んだ」という事実しか残っていないでしょう。
教員人生スタート
そして,ニュージーランド留学から帰国後,教員として授業をする機会を得ました。
帰国後すぐということもあり,ひょうひょうと英語を話して授業をしていました。
これも正直,「すべて英語で授業をするなんて,時代にも合っていて,イケてるなー」という風に思っていたところがあります。
しかし,文字通り英語で授業をしているだけでした。
使用言語が英語になっただけで,授業の内容や方法は私が中学生のときに受けていたものそのままであり,つまらなくてウンザリする授業だったのです。
そのことに私がショックを受けているとはいざ知らず,生徒は一所懸命に勉強してくれました。
そして,挙句の果てに,自分たちが受けていたものと同じような定期テストを実施すると,生徒はしっかりと得点してくれるのです。
すると,何が起きるでしょうか。
まるで自分の授業には問題がないかのように思えてきます。
「授業の成果が出ているから,しばらくこのままでも良い」という甘い考えも出てきます。
こうなれば,授業スタイルを変えるのは,至難の業となるでしょう。
また,私たちは自分たちが受けてきた以外の授業スタイルを知りません。
研修やセミナーで模擬授業や授業の映像を観る機会はありますが,その一度だけでは中々全貌が見えてきません。
これでは,授業スタイルを変えるという発想すら出てこないかもしれません。
自分の中に0から1を生み出すのは,アイデアが無い限り,非常に困難です。
これが,同じ授業がずっとくり返されている原因のひとつです。
しかし,私たちは気付かなくてはなりません。
「従来の英語教育では,誰も英語を話せるようになっていない」ことに。
自分たちが受けていた授業と比べてみて,自分の授業スタイルが似たようなものになっているのであれば,今一度自分の授業を見直す必要があります。
変化を恐れない
新しいことにチャレンジしましょう。
失敗しても構いません。
そこから,また生徒と共に授業を創り上げていきましょう。
私たち教員は,生徒たちに「失敗なくして成功はない」という類の話をしているはずです。
チャレンジして失敗したとき,立ち止まってしまったら失敗のままですが,いくらでもやり直して成功に変える努力をすれば良いのです。
生徒たちに英語力を付けてほしいと願うのであれば,英語科教員の授業スタイルのアップデートは必要不可欠です。
まず,自分の授業をふり返ってみましょう。